コンセプター・和田健司さんによるエッセイ「love letter from K.」。
KOZでのお買い物がもっと楽しくなるヒントをお届けします。
スペースをあけよう
地球が怒っていますね。世の中を見渡してみても暗いニュースが多いので、ついついシリアスになってしまいがち。ということで、全然関係のない少し笑えるお話を。KOZレシピで、”万願寺唐辛子のチーズ肉巻き”が紹介されており、「万願寺唐辛子の季節ですよ~!」というみわこ店長のコメントでふと思い出したのが「甘とうがらしのカレー」の話。去年くらいから放映されている、ジャワカレーのCMで、「(甘とうがらしで作る)夏のこだわりスパイシービーフカレー」っていうのを反町隆史さんが作るんです。女性が(けっこう)遠くから「な~んか手伝おうか~?」って言うんですが、「いいから、いいから。」って反町さん格好良く断ります。「手伝おっか?」ともう一度女性。「うん、大丈夫(キリッ)。」と味見をしながらキメ顔。「さわやかな大人の辛さ、ハウスジャワカレー。」って感じで終わるんですけれど、美味しそうだなぁと思って作ったんです。
作り方は、全部切って炒めて、水を入れて、ルウを入れるだけ。「そりゃ、いいからいいからって言うわ~。これ本当に何も手伝う事ないじゃん!」と料理しながらついつい口走ってしまいまして。何も聞かれてないのに「手伝う事ないから、大丈夫。(キリッ)」と真似してみたり(笑)。味はというと、スパイスと甘とうがらしの香りがとても相性が良く、美味でした。そりゃ、反町さんも自信ありそうにキメ顔するわと。皆様も是非ご主人と、週末にでも試してみてくださいね(笑)。
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クラウド・ペン
前回は、毎日触れる物が段々と自分を作っていくという内容のお話をしました。身の回りにはまだまだ色んな物がありますが、意外に僕も困っているのが「持ち物を見直す」という事です。今回は毎日触れる物の中でも、改めてそれが必要かどうか?と整理をしてみた、というお話をご紹介したいと思います。
みなさんは、筆記具は何をお使いですか?僕は割と文房具が好きな方で、仕事からプライベートまで色々なペンを使ってきました。このペンとこの紙の組み合わせじゃなきゃダメと拘った事も多かったのですが、ここ10年ほど「ぺんてるサインペン」に落ち着いています。線も太すぎず細すぎず、ささっと書いて「こうですよね?」と相手に見せる時に丁度良い大きさで文字やイラストが書けます。唯一の欠点は寿命が短い所。でも値段も100円ですから、この書き味であれば申し分ありません。
このペンの最大の特徴は「世界中どこでも手に入る」という所です。コンビニがあればまず間違いなく売っていますし、どこにいても同じ物が手に入る。まさに「クラウド化された文房具」なんです。これを使うようになってから、筆箱や自分のペンは持ち歩いていません。手ぶらでも全く心配なく、ペンの忘れ物から解放されました。どこにいても自分のペンが周りにあるという状況は非常に軽快で、仮にペン先が潰れてもなくなっても、また新しいものに買い替えています。こんなことができるのは、世界中探してもぺんてるのサインペン位しか思いつきません。
テレビを乗せるあれ
買い替えたいと思っているけど、良い物が見つからないので何となく今のまま使い続けているということ、ありませんか?僕にとってテレビ台がまさにそれでして、一向にこれだという物に巡り会えず、随分昔に買った無印良品のシェルフユニットを使っておりました。黄ばみも出てきて、扉のマグネットも壊れてしまいもう限界。でも買い替えたいテレビ台がないので、悩んだあげく暴挙に出る事にしたのです。
それは、「ひとまず、テレビ台をなくしてしまおう」と。テレビは割と大きめでしたので床置きにしてみて、ちょっと様子を見てみようと考えたのです。無印良品はリセールバリューがそこそこあるので案外良い値段で売れました。そして、いざ床置きにしてみるとこれがなかなか良い感じ。リビングにテレビがあるぞ!というあの独特の生活感が消え、ユニークな見え方に。最初は慣れませんでしたが徐々に気に入ってきまして、テレビの前にラグを敷いて子供達は寝転びながら見ていますし、ソファーからは少し見下ろす感じにはなりますが、そこまで見づらくもない。一体「テレビ台」っていうのは何だったんだろう?とキョトンとしてしまいました(笑)。
それからというもの、ずっとこのスタイルで1年ほど過ごしています。もちろんテレビ台を探す旅は終わっていませんし、もしかするとこのまま壁掛けにしてしまってもいいかもしれない、究極論テレビまでもなくしてしまっても良いのかも?とどっちに進もうかまさに今悩んでいる途中なのであります。
魔法のティッシュ
毎日触れる物のひとつとして忘れてはならないのが「ティッシュ」。1日10回以上使う人も多いのではないでしょうか。生活感が出る物の代表格でもあるため、色々なブランドからそれを隠すティッシュケースなる物が売られています。僕も縦置き型のティッシュケースを愛用していたのですが、ダイニングで使う時は思ったより存在感があり、もう少しどうにかならないかなぁと思っていました。テーブルの中央に置ける雰囲気の良いティッシュケースを片っ端からリサーチしました・・・が、ありません。シルバーのミニマルなデザインの物が唯一良さそうだったので、買う一歩手前まで行ったのですが、なぜか踏ん切りが付かない。
ダメ押しでもう一回ネットで探していると、ある主婦の方のブログを発見しました。その方は、マジックテープをティッシュボックスに貼り、机の裏にピタッとくっつけて使っていたのです。「おぉ、これは賢い。これならケースを買う前にひとまず試してもよさそうだ。」と、早速実践。マジックテープって案外強力にくっつくんですね~。難なくテーブルの裏に設置できました。折角ならと両端2箇所に設置。机の下からシュッと出てくる様が面白いので、子供達と「魔法のティッシュ」と命名し、愛用しています。
心の余白
世界中にあるペン、消えたテレビ台、魔法にかかったティッシュ。今回は、僕の生活の中でちょっと変わった末路を辿ったモノ達を紹介しました。
「これだ!」というモノとの出会いは必ずしも毎回は訪れません。とりあえず妥協して済ませることもあると思います。でもできる限りで構いません、是非妥協せず選んでみてください。もしその時に気に入った物がなければ、試しに「なし」でしばらく過ごしてみてください。意外になくても良かったのかもと気づく時もありますし、やっぱり大事だったんだなと改めて大切さを噛みしめる時もあります。でも、そう思えたのは「それをなくしてみたから」ですね。選ぶ余地が残っている状態というのは、実はとても楽しい事だと最近気づき始めました。急いで買わずに、どれにしようかなぁ~と悩んでいる時が実は一番楽しかったりします。
例えば、自分をクリーニングするような感覚で持ち物を整理してみる。「なきゃ・べき」という固定概念を捨てて一旦やめてみる。不便かもしれないけれど、自分の中にスペースができるので、心に余白ができたみたいで、結構楽になると思います。モノで溢れた現代だからこそ、生活の一部を白紙にして、本当に自分に必要な物ってなんだろう?と見つめてみるのもまた暮らしの醍醐味なかもしれません。
またそこからお買い物をするのが、きっと楽しくなるはずだから。
まさに今、そう考えながら、リビングを改造しようと企んでいます。
つづく。
この記事で登場したジャワカレーの
アレンジKOZレシピはこちら▼
1616/arita japan|Deep plate(ディーププレート)
オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。
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