越前漆器は解釈の幅が広く、木地から樹脂成形まで、漆から樹脂塗装まで、そして手工業から機械工業まで、さまざまな「“間”=あわい」が存在します。背景にあるのは、この街ならではのものづくりの特性。社会や経済の変化とともに移ろいゆく生活様式に応対する「寛容さ」が、越前漆器らしさを育んできました。
また、器というプロダクトには深さに明確な定義がなく、お皿や鉢、盆など形状に「“間”=あわい」をはらんでいて、多様な使い方を受け入れる存在であることに着目。越前漆器の特性である「機械工業から手工業までの“間”=あわい」と、器という存在が受容する「用途の“間”=あわい」。この2つの「あわい」を構成要素としプロダクトに落とし込むことで、今回の商品が完成しました。ざらざらした質感のある塗装が施されており、梨地のようなの表情をしています。カラーは公園を連想するシックな落ち着いた3色の展開です。
漆器の盛り皿やプレートのゆるやかな仕切りをイメージしたハーフパイプのフォルム。塗りが引き立つなめらかな曲面は、心をくすぐる存在感があります。
食卓では、トレーやボウル、プレートとして。デスク周りに置いて、散らばる文房具やメガネをすっきりと受け止めてもらったり。玄関先に置けば、鍵やアクセサリーの「定位置」としてもちょうど良さそうです。こんな風に一定の使い方はあるものの、使い手の日常から生まれる「創意工夫=アレンジ」もお膳立てします。このおおらかなプロダクトを「PARK」と名付けました。
この商品を開発した職人とデザイナーをご紹介します。
写真左から
CRAFTSMAN
セキサカ|関坂 達弘
株式会社セキサカは越前漆器の産地、福井県鯖江市の河和田地区で、約300年もの間、漆器業を営んできました。国内外で活躍するデザイナーとの協働で、 商品開発を行うプロダクトブランド「SEKISAKA」では、広義の意味での漆器にまつわる様々な製造技術を新たな視点で再解釈して 活用することで、現代のライフスタイルに合わせた新しいプロダクトを作っています。
AK_DD |熊谷 彰博
デザイナー / ディレクター。AK_DD 代表。2007年より、物の見方を探求し、独自の視点と文脈の再構築からデザインとディレクションを手がける。物の構成と素材を抽出し、表象と知覚を媒介するオブジェクトの習作をつづけて、2021年、初の個展「OBJECTS」にて発表、同テーマを基幹に作品を制作している。主な仕事に、T-HOUSE New Balance フリーマガジン「NOT FAR」アートディレクション。無印良品 池袋西武 企画展「STOCK展」企画・監修・会場構成、「柳本浩市展」キュレーター、21_21 DESIGN SIGHT 企画展「雑貨展」コンセプトリサーチ、オリンパス純正カメラバッグ「CBG-2」プロダクトデザインを手掛けグッドデザイン賞を受賞等。編書に、『STOCK』(MUJI BOOKS、2017)。
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画像上からConcrete、Sand、Forest。
※画像のモデルはあくまで参考イメージです。実際の商品はサイズ、質感、色味が多少異なります。