イランやトルコなどの国に暮らす少数民族によって手織りされる、伝統的な文様が美しい絨毯を総称してトライバルラグ=部族民の絨毯と言います。かつて家畜とともに移動して暮らすノマド(遊牧民)が自分たちの生活の道具として織っていたもの。定期的に移動を繰り返す彼らはテントの床としてはもちろん、のれんのように入口にかけてドア替わりにしたり、塩を入れる袋やランチョンマットなど、あらゆるものを自分たちの手で織っていました。
遊牧民が暮らすのは過酷な乾燥地帯や荒野が多く、元気を出したり気持ちを明るくするために身の回りの生活道具には鮮やかな色やデザインを使ったと言われています。
織り子は女性がほとんどで、もともとは母から娘へ脈々と受け継がれてきた『記憶』で織られたもの。現在は定住や半定住をして織られていますが、そのデザインには地域や部族の特徴のある文様が織り込まれ、昔から現在まで伝統的に受け継がれています。
トルクメンのラグは深い深紅が多い中のですが、こちらはベージュの割合が多く少し珍しい色合いです。トルクメン族は織りのクオリティも高く、斜めの角度で「S」が沢山織り込まれています。「S」はケルマックという虫を現していて、『魔よけ』の意味が込められています。
中にはちょっと違う模様が織り込まれていたりも。これも織子さんの個性です。落ち着いた色の組み合わせと控えめな模様がインテリアと場所を問わず合わせやすいラグです。
・普段のお手入れは、掃除機を折り目の方向に合わせてかけてください。
・飲み物をこぼしてしまった時はすぐにティッシュで押さえ水気をとります。次によく絞った濡れタオルでトントンと叩いて汚れを落とします。最後にティッシュなどで残った水分を取ります。羊毛の自然な油分がありますので、すぐに拭き取ることで汚れが浸み込み難いです。
・汚れやにおいがひどい場合は、シャンプーを100倍に水で薄めスポンジでよく泡立て、泡を汚れの上にのせます。毛足の方向に沿って、よく絞った濡れタオルでトントンと叩いて汚れを拭いていきます。後は、固く絞った布で同様に拭き、さらに乾拭きし、風通しの良い場所で十分に乾かしてください。
『ラグから暮らしをデザインする』
ラグのある暮らし、その延長線上にある、住む人のハッピーをイメージする。そんなコンセプトでギャッベやトライバルラグ、ペルシャンラグなどを日本に紹介している中目黒のラグ専門店Layout 。
まずは難しく考えず、普段着のようにパッと見て気になるものを手に取ってほしい。そのどれもが同じデザインではなく、実は世界に1枚しかないのです。
Bossこと代表の前田さんとバイヤーのHさんがシーズン毎にイランで1枚ずつ吟味するラグたち。
デザインや厚み、耐久性など、ラグとしての実用性や完成度はもちろん、何よりも1番の決め手は現地の人との出会いから始まるラグのストーリー。イランの広大な大地はいつも優しく、温かく。作り手や持ち主の情熱を感じ、この人から譲ってもらいたい、そう思えるものを日本へ持ち帰っています。そしてその想いを次の持ち主へ、そこからまた新しい物語が紡がれていきます。