シサム工房がまだ現地で買い付けをしていた時代、
タイのとある街角で、副代表のヒトミの目にとびこんできたのが
一風変わったウエストフリーのパンツ。
タイ語で「うさぎの耳パンツ」というような意味のものだったそうだ。
それが、2008年にsisamで誕生したクロスパンツの発端となる。
インドやネパールの生産者とともに、クロスパンツづくりが始まった当初は、
オリジナル服作りのスタートラインに立っていた時代。
初めてのことばかりで、大変な毎日。
現地では「返し針をして補強する」というような習慣がなかったため、
縫いが弱く、何度もやりとりを繰り返すこともあったそうだ。
年季のはいった当時のパターン紙が、デザイナーの机に今でも大切にしまわれている。
あれから13年。
今ではたくさんのパンツがデザインされ、縫製の難易度もあがってきているが、
作り手にとって、クロスパンツは服づくりの原点。
長く長くともに歩んできた特別な一品だ。
愛用歴10年 ワタナベ
布をねじって固定するときの肌感覚。
仕上げに、ハチマキのごとくキュッと結ぶときの、良い一日が始まる予感。
クロスパンツを履くときの、その数秒間がたまらなく好きだと
ワタナベは話す。
10年前に入社したワタナベは、太いパンツさえあまり履くことのなかった人。
そんな彼女が、「え?これ巻くの?」と戸惑いながら選んだ一枚がクロスパンツだ。
いざ履いてみたら、これがなかなか良い。
シンプルなTシャツと合わせても、クロスパンツの生地のニュアンスで
なんだか素敵な装いに見えてくる。
性別や体型なんて全く関係がないと言わんばかりに、
すんなりとその人の個性を包み、サマになってくれるパンツだ。
“「パンツを履く」とはちがう、「布を巻く」に近い原始的な感覚。
なのに、ここまでの安心感があるのは、とても心強いですね。
巻き方が色々なので、クロスパンツを通して、その人の個性や美しさが見えてくる。
それを見るのも好きなんです。”
布地を美しく身体に添わすように、自分の力加減で心地よく固定させて。
それは異国の風景なのか、昔の人々の暮らしなのか、ここではないどこかに想い馳せられる楽しさを。
そして日常を生きる私たちの、実用性をも叶えるクロスパンツ。
ねじって、結んで。
すこし懐かしく、なんだか新しい、sisamの愛すべきロングセラーだ。
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ストア紹介
sisam FAIR TRADE
「フェアトレードのある暮らし」
インドやネパールで、人の手のぬくもりを宿しながら丁寧に作られた衣服。
フィリピン山岳地帯で森林農法により育てられたコーヒー。
ものの背景とつながることで、日々...もっと見る