こんにちは、バイヤーの畠田です。
消費者としても、バイヤーとしても、効果が目に見えてわかりづらい物を選ぶことって難しいなと思います。そんな理由から、何が良いのかわからなかったもののひとつが「浄水器」です。私自身、効果に対して半信半疑ながらも「使うに越したことはないよね」くらいの感覚で、蛇口に設置するタイプのものを自宅で使っていました。
そんな中、長年の疑問がすっきり解消したのが、「ウルオ」を作っているイーテックの代表・小野さんにお話を伺った時でした。小野さんは20年以上、浄水器のフィルター製造をしている、いわば水の専門家。浄水機能について、わかりやすく説明してくださいました。
「塩素100%除去」はだてじゃない
そもそも浄水器の仕事は「塩素をとる」「鉄錆などの汚れをとる」「とる過程で余計なものを溶出しない」の3つ。それってどの浄水器でもできるのでは?と思っていたのですが、その性能には差があります。
その差がなぜ生まれるのかというと、フィルターの違いです。少し難しい話になりますが、大きくわけて3種類ある「フィルターの作り方」について教えてもらって、納得感がありました。
ひとつめが、「充填式」。筒の中に活性炭を詰めるという作り方をしていて、振るとシャカシャカと音が鳴るのが特徴です。上の実験で使っていた他社メーカー品のフィルターはこのタイプ。程度の差はありますが、空洞が大きく、汚れや塩素は完全に除去できないものも多いです。
ふたつめが、「乾式成形」。こちらは粉にした活性炭を固めて作ります。フィルタの精度が高く、汚れや塩素は除去できますが、活性炭を固めるためにバインダーというつなぎ成分を50%使っているため、水の味に影響することがあります。
そしてみっつめが、ウルオに使われている「湿式成形」。和紙をすく技術を応用して活性炭を成形しているため、つなぎ成分のバインダーはごく少量で済みます。汚れや塩素をしっかり除去しつつ余分なものを溶出しないという、浄水機能と水の美味しさどちらも兼ね備えているのがこの作り方です。
湿式成型のフィルタは「価格が高くなる」というデメリットがあるため、高額な元付け型や業務用などの大きな浄水器には使われますが、一般的に価格の安いポット型浄水器には使われていませんでした。元々は大型の浄水器を作っていたイーテックさんですが、もっと生活に気軽に取り入れやすいポット型で、浄水機能にも妥協しないものを作りたい、という思いから生まれたのがウルオなんですね。
「塩素100%除去」はだてじゃない
もうひとつ、浄水器の性能を比べる時にわかりやすいのが「除去できる物質の数」。国が定めたJIS規格13項目をどれだけ浄水することができるかどうかです。
水の美味しさに関わるのは、残留塩素、カビ臭の2項目。水の安全性に関わるのは、鉄さびなどの濁り、トリハロメタン、農薬などの計11項目、合計13項目です。
ウルオは、この13項目全てを除去することができます。80%以上取り除くことができれば「除去できる」として表記することができるのですが、ウルオの場合、残留塩素は「100%」取り除くことができるというのが驚き。(ちなみにパッケージには「除去率80%」と記載されていますが、家庭内表示法の表示ルールがあるため80%以上には表記できないそうです。)
塩素からくるカルキ臭は水道水で一番気になる部分なので、これが確実になくなるというだけでもありがたいなと思います。
美味しいから、使いたくなる
ここまで小難しい話をしてきましたが、そもそも水道水を飲むと危険なのか?と言うと、答えは「大丈夫」です。浄水器を売るために、必要以上に不安を煽る記事や売り文句もありますが、日本の水道水は法律によって厳しい基準で安全管理されています。有害物質は体内に取り込んでも問題ないとされている量しか含まれません。
それでもウルオをいいなと思ったのは、浄水された水の味があきらかにおいしいから。これは、残留塩素が100%除去されてカルキ臭がなくなるからだけではなく、更に「ミネラル分が足されていること」が理由です。
「水のおいしさ」には、硬度や温度などさまざまな条件がありますが、中でも重要な要素なのがミネラル成分。山の湧き水を飲んで美味しく感じるのは、鉱石から溶け出したミネラルが含まれているからなんですね。
唯一の欠点かなと感じたのは、一度に浄水できる上限が1Lであること。夏場、水分を摂る量が増える季節には1日何度か浄水する必要があるなと思います。でも、1Lをろ過する時間は5分ですし、ろ過した水を他の容器に移せばある程度一度にまとめて浄水できますね。
ペットボトル入りの水を買うことは簡単ですが、その容器の行方まで考えると、個人的には浄水器を使ったほうが地球環境に優しくていいなと思います。
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