コンセプター・和田健司さんによるエッセイ「love letter from K.」。
KOZでのお買い物がもっと楽しくなるヒントをお届けします。
手に食
みなさん、こんにちは。春のお買い物楽しんでらっしゃいますか?このエッセイを書き始めてから約1年が経過。読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。今年はどこかで読者の皆様とコミュニケーションが取れたりしたら嬉しいなぁと思ったり・・・。さて、春がやってきました。花見ってずっと昔から続いていて、老若男女誰も古くさく思わない。「花見離れ」なんて聞いた事もありませんしね。惣菜や出店で色々買い込んで、桜の下皆で語らい合う。いやぁ、素晴らしい文化です。これが自粛だなんて(涙)。
旬のありなし
春は旬の食材も豊富です。前回焼けなかった筍を始め、かぶ、菜の花やしいたけ、新玉ねぎも春キャベツも。素直に料理して紹介をしようかなと思いましたが、テレビでもこの時期はよく見たりするので、できればここならではの視点で何か見つけられないものかと数日考えることに。子どもに「好きな料理って何?」と聞くと、パスタ!と答えが。全然旬と関係ない・・・そりゃそうですよね(笑)。ふと「みなさんって、食材とか何かこだわりはありますか?」と聞いてみたいなって思いまして。旬の物もそうですが、調味料に至るまで全般的に。そういえば、僕は雑誌などで他の方がお薦めされた物を、結構すんなり買いに行ってしまうので、家にはチューブや瓶やらが割と沢山あります。
私を変えた食材達
結構大袈裟なタイトルをつけましたが、今回は是非皆さんにもお薦めしたい物を2つご紹介します。ひとつ目は「つぶ塩こんぶ」。塩こんぶ自体は関西方面の方は常備されているご家庭も多いのでは。これは、通常の塩こんぶを細かく刻んであるものでふりかけのような形状になっています。この調味料との出会いは、数年前に都内の焼肉店に食べに行った際、小皿に入っていて、店員さんに「最初はその塩こんぶをつけてお召し上がりください。」と言われ食べた時の衝撃が忘れられず、早速家でもやり始め、今では焼肉の時の定番に。
※お皿が汚れそうだから、肉の方に塩こんぶを手でつまんでかけようとしたら、焼肉屋の店員さんに「お肉をつけてください。」とクールな顔で注意されました。理由はまだわかっていません(笑)。
食べ方は、焼けた肉につけるだけ。シンプルの極。口に入れると、塩こんぶのしょっぱさが最初に来るのですが、その1秒後に肉の脂の甘さが押し寄せ、それが混ざり合って噛む度に旨味が口の中に広がります。肉の味そのものも消すこと無く、たまらない~!ってなる事請け合い。肉に含まれるイノシン酸と昆布に含まれるグルタミン酸(が)、三大旨味成分の内のふたつが掛け合わさって、より美味しくなるそう。焼肉のタレが少し飽きてきた方には是非×100やってみて欲しい食べ方です。友人宅などに招かれた時も、お肉と一緒にこれを持って行けばヒーローになれますよ(笑)。
落ち着くパスタ
※他のメーカー商品によっては、スパゲッティーで1.4mmと書いてある物もあります。でも中身は大体同じです。
ふたつ目は、「ディチェコ フェデリーニ No.10(1.4mm)」。スパゲッティが紐という意味であれば、こちらは糸という語源のパスタ。細麺の部類に入るのですが、冷製パスタに使われるようなカッペリーニ(0.8mm~1mm)よりは太い。ちょうどスパゲッティーとの間でしょうか。もう一段細いカッペリーニは、正直美味しいと思った事があまりなくて、対してこのフェデリーニは細めではあるけれどちょうど良い太さ、コシがしっかり作れるので好みの食感なのです。オイル系のパスタは普通のスパゲッティーとこれで比べてみると、断然違いが出ます。パスタはこれまで結構な数作ってきたのですが、落ち着くところこのフェデリーニに落ち着いたという感じ。
オイル系のパスタはシェフの友人が昔教えてくれた時の名言がありまして、「とりあえずオリーブオイルにニンニクの香りをしっかり移しときゃ、後はなんとかなる。」これを毎回やっています。下ごしらえの前に、オリーブオイルでオイル溜まりを作りニンニクを潰して入れ、とろ火で放っておく。その間に色々と準備をするとスムーズに調理できますよ。
料理の手順などは、自分が美味しいと思えばそれが正解のやり方だと思うので詳しくは書きませんが、僕はフェデリーニの茹で時間はパスタを入れた瞬間にタイマーを4分。まだ芯がある位に仕上がるので、ゆで汁を少しだけ残して(大さじ4くらい、塩分が気になる方は別にお湯を用意してもOK)、フライパンに入れ、強火で30秒~1分ほど熱を入れます。
スープをパスタが吸ってくれるのでパスタ自身に味が染みこみ、プリッとした仕上がりに。汁気がなくなってきたら火を止め、皿に盛り付けて完成です。今回はスモールサーディンと菜の花のオイルパスタ。ニンニクの香りとイワシの優しい海の味に、菜の花の苦みがアクセントになって美味でございます。
手に食
最近、「なんでも自分の手でやってみる」が再燃しています。お金を払って解決するのでは得られない小さな気づきが沢山体験できるからです。イライラする事もあるけれど、結果としてそちらの方が得られる物が多い。食べることにしてもそうなんじゃないかと。そういう点で、気になった食材を買ってみるというのは、一番簡単にできる「料理が得意になる第一歩」かなと。やってみようと思ってすぐできる・簡単であるというのは、オリジナリティを獲得するには非常に重要なことだと思います。料理にしてもそれ以外でも。
僕には、「手に職(食)」があるだろうか。
得意な事(料理)で誰かを喜ばせることはできるだろうか。
つづく
(次回は4月2日更新予定です。お楽しみに!)
オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。
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