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love letter from K. Season5「好きと嫌い」小さな物達

ストア:KOZLIFE掲載日:2021/12/03
コンセプター・和田健司さんによるエッセイ「love letter from K.」。
KOZでのお買い物がもっと楽しくなるヒントをお届けします。

小さな物達

好きと嫌いというテーマで始めたSeason5。前回の「敢えて嫌いな人と飲んでみる」という話を周りの友人にしたところ、「私には絶対無理…。」「それはかなり勇気がいるけど試してみたい!」などと結構な反響?をいただきました。苦手な人と仲良くなる方法としては結構成功率が高いと思うので、臆することなく是非やってみてください。さて今回は、気づいたらなぜか身の回りに集まっている「小さな物達」のお話しです。

キッチンに小さなスピーカーを

アナログレコードに針を落とし、大きなスピーカーから大音量で流れる音楽を体で感じながら余韻に浸る。インテリアがお好きな方の中には音にもこだわってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。僕もその一人でしたが20年のスピーカー遍歴を経て、今あるのは小さなHomepod miniが仕事場に1台だけ。大きなシアタースピーカーなども試してきて、それはそれで良い音なのですが、最終的にこれに落ち着いてしまいました。本当幾ら使ってきたのかって感じです(泣笑)
最近、キッチンにもう1台同じ物を買いました。料理をする時・食事をする時に自分の好きな音楽を流します。そうするとどんな時でもちょっと気分が上がってくる。たまにはカラオケみたいに歌いながら。この使い方に、思いのほか妻の方がはまってしまったようで、夕方J-POPなんかが流れてくると、“あ、今日はご機嫌なんだな。”と曲が教えてくれたりします。小さなスピーカーを使っていて気づいたのは「結局のところ、部屋であまり大きな音量で聴かない」ということ。パーソナルな距離感で小さく流れてくる音楽が最近のお気に入りです。

大は小を兼ねない

トップスが足りないのはわかっているんだけど、毎年冬になるとついついアウターが欲しくなってしまう。そんな、気がついたら手元に集まってしまっている物、あなたにはありますか?なぜか知らないけれど”mini”と名のつく物や、ついつい小さな物を選んでしまう僕。男だからでっかく行きたい所ですが、身の回りには小さな物ばかり…。

時代はキャッシュレスだ!と財布をミニウォレットに。 手ぶらで歩く人に憧れて、最低限の小物は小さいポーチに入れて上着のポケットへ。 車もやっぱり小回りがきいた方が街乗りには良いだろうとコンパクトカーへ買い替え。 iPad mini!?miniって名前が付いているので即購入(笑)。 (本当は、片手で取り回しの良いタブレットってとっても使いやすい。)
ほとんどの外出はこれだけになりました。
ほとんどの外出はこれだけになりました。
小さい物には、制限が伴います。 財布には沢山カードを入れられないし、もしもの道具は基本的になし。共通して、常に「限られている」が付きまとう訳で、これをマイナスと考えるかプラスと考えるかで好き嫌いがハッキリ分かれるのかなと。大容量で、いつでも余裕があって何でも出てくる「道具屋っぽいギア感」の良さもとってもわかります。が、僕は逆に「限られている=厳選されていること」と捉えていて、自分にとって実は必要ないかもしれない部分を削除していく行為が心地良いのです。自分の頭の中の掃除をしている感覚に近いのかもしれませんね。そんなことを繰り返して最終的にできあがるのは、選び抜かれたフットワークの軽い少数精鋭の1軍の持ち物達。

小さな器

もうひとつ集まってしまっている物。それが小さな器です。買ってしまう理由のひとつは、簡単に持って帰れる事。旅先で大きい器はなかなか持ち帰る気分になりませんが、小さい物であればスーツケースの中に入れてもかさばらない。そんなこんなで集まってしまった小皿達も食卓では思っているより活躍をしてくれる存在です。
特に日本食との相性は抜群で、15cm前後の取り分け皿を1人1枚使うより、10cm以下の小皿を何枚か使って食べた方が、味が混ざらずに使いやすいということに気づきました。少し大きめのワンプレートに色々盛り付けて食べるのもオシャレでよくやっていたのですが、料理同士の味が混ざってしまって、ティッシュで拭いてから次の料理を…とあまりよろしくない感じがしていました。安心できるのは主菜・副菜・碗物・ご飯のようなトラディショナルなご飯の姿ですけれど、6つの小皿が並んでそこにご飯と碗物みたいなスタイルもちょっと見慣れない感じで新鮮味があって良し。(子どもウケも良し)個人差はありますが、見かけによらず結構満腹度も高いのです。

miniな暮らし

最近物を使っていてふと思った事があります。「好きって継続しないよなぁ。ずっと好きってないのかもしれない。」って。でもそれでいいんだろうなとも同時に思ったのです。結構買い集めた物も、何かの拍子に価値観がガラっと変わって、自分にとって意味をなさなくなってしまう事がある。意味が変わると、好きな物もガラリと変わる。僕自身もそういう事がちょくちょくあります。だからこそ、フットワークは軽めでいたい。生活をminiにしておくと、そこには厳選した自分らしさがぎゅっと詰まっているように思えて「自分はこうなんだ。」って明快になって気持ちもスッキリします。もちろん、何か価値観が変わった時にはキュっとハンドルを切って、フットワーク良く変わっていけますし。


つづく



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和田 健司
オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。
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