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love letter from K. Season6「旅」 Thinking in the hotel ー 博多/前編 ー

ストア:KOZLIFE掲載日:2022/05/13
コンセプター・和田健司さんによるエッセイ「love letter from K.」。
KOZでのお買い物がもっと楽しくなるヒントをお届けします。

Thinking in the hotel ー 博多/前編 ー

ソロ活、なんていう言葉をここ数年良く聞くようになりました。ひとりでいる事が、寂しさの象徴から、どちらかといえば贅沢の方向へと価値観を移しています。僕もその渦中にいまして、ここの所、旅するように生きていけたら…幸せなんだろうなぁと考える事があります。

神学者、アウグスティヌスの名言にこんなものが。“世界は1冊の本のようなもの。旅をしないということは、その本の1ページしか読まないようなものだ。” 予期せぬ出会いや発見の連続、楽しい時間は一瞬にして過ぎ、それに加えて途中で何が起こるか判らないというのが旅。止まらない時間の中で、どこかに進んでいかなければいけない感覚は、さながら人生のようにも見えます。Season6のテーマは「旅」。10回に渡り様々な旅の景色をお贈りしていきますね。

THE BASICS

去る3月、数年ぶりの出張で福岡県を訪れました。せっかく遠方へ足を伸ばすのだからトンボ帰りというのも勿体ない。今はどこにいても仕事ができる良い時代。ということで出張終わりに、居心地の良さそうなホテルを探してゆっくりともう一泊リモートワークをすることにしました。今回選んだ宿は、THE BASICS FUKUOKA。旧ハイアット・リージェンシー・福岡をリニューアルして2020年にオープンしたばかりの新しい施設です。一歩足を踏み入れると、高さ約8mの書架6本をぐるりと設置したロビーに「世界をめぐるライブラリー」をテーマにした各国・地域の名著名作・写真集が約5,000冊も収納されています。書物はロビーでゆっくり読めるようになっていますし、客室にも持っていく事ができるので、本を読むだけでも1日過ごせそう。
ホテルでゆっくりしようと元々決めていたため、明るい内にチェックイン。出迎えてくれたのは、本当にちょうどよい広さの落ち着いた部屋。開放感のある大きな窓、少し暗めの照明とウッディな内装も相まって、ビジネスホテルとは一線を画す雰囲気です。「へぇー」と呟きながら内装を見て回る、この感覚はホテルならでは。インテリアショップや内覧会ではなく、今からここに泊まるのですから、“ちょっと所有したような気持ちになる”のでしょうね。
ハンドソープの香りを嗅いだり、使われているタオルや小物を使ってみたり。デザイン好きには至福の時間。このホテル、どうやら音楽に力を入れているそうでテレビにはオリジナルプレイリストが季節・時間ごとにずらっと表示されています。再生してみると…めちゃめちゃセンス良しです。こ~れは、仕事の疲れがほどけそう。ついついテレビで地上波なんかを流してしまうと、日常に引き戻されてしまうので、落ち着ける音楽だけにしておくというのはホテル滞在の非日常感を味わう上で、大切な事かもしれません。

いつもと違う形で

こういう場所で仕事をするなら、いつもと違うスタイルでいたい。大事な事は先に済ませてしまい、途中でゆっくりとお風呂に浸かってアイデアを練ったりします。デスクから一旦離れる事で物事を俯瞰で見れるので、実は効率的だったり。終盤はゆるゆるとプライベートの時間にフェードアウトするように、飲みながらやりましょうかね。ということでセブンイレブンで調達してあった、フレシネ・ハーフボトルと野菜スティック(←これ美味しいですよね)で幕を閉じ?開け?ます(笑)。
今まで博多に来て、夜外に出なかった事がないので、若干のソワソワ感を感じつつも夕食はUber Eatsを手配する事に。届いたのは予想を遙かに上回る、博多・海の幸オムニバス的な海鮮丼。
この美しさ、配達グルメのレベルを超えています。少し甘めの九州醤油が風味がとても良く、魚の香りをまろやかにまとめてくれて何とも美味美味。先程ロビーで借りてきた民芸の本なんかを読みながら、夜は更けていきます。

寝て起きるとそこは、まだ旅の続き

いつもより早めに目覚め、コーヒーマシンで濃いめのエスプレッソを飲みながら、チェックアウトまで、今日の予定なんかを決めながらゆっくりと過ごします。今まで旅行と言えば、スケジュールを詰め詰めにして、ホテルへは寝に帰ってくるだけという事がほとんどでした。こうして今回ゆっくりと過ごしてみて、旅に出たら少なくとも1日はホテルでゆっくりする日を設けるべきだなと思いました。何をするわけでもないですが、風呂に長めに浸かり、自分の頭の中を整理したりこれからの事を考える。誰にも邪魔されることなく熟睡をする。「自分の内面を洗う」という行為も、旅でしかできない経験なんだろうなと。永遠にこの部屋に住んでしまえば、こんな感覚もいつかはなくなってしまう。だからこそ数時間・数日で出て行かなきゃいけないホテルの部屋の刹那さが、人生とか、普段考えられないような事を考える場所としてピッタリなのかもしれませんね。次の宿はどんな部屋が待っているのだろうか?そんな事を考えながら、チェックアウトをするのでした。

つづく

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「LOVE FOOD LOVE LIFE」をモットーに、北欧の豊かな暮らしをお手本にしたインテリア、キッチン雑貨、ファッションのお店です。 自分たちが実際に使ってみて本当に「良い!」と思ったモノをセレク...もっと見る

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