かぎ編みのビキニにフォークロア調のパッチワークのベスト、裾だけ色違いのフリルが3重に施されたワンピース‥
既製品にはない個性と美しさ、そして懐かしさを纏った子ども服を作ったのは筒井喜久恵さん。1960〜80年代にかけて、我が子3人のために自らの手で作り続けた服や小物が並んだ1冊。

看護師をしていた筒井さん。1965年に結婚し出産後の育児に専念していた12年の間に作り続け、大切に衣装ケースにしまっていたものたち。広げると子ども服ならではの明るい色使い以外にも、細かなギャザーやピンタック、色の切り替えなどのセンスに驚かせれ、手元に取っておきたくなるのも納得です。
きっと、作った洋服がただの「モノ」ではなく、子どもたちが着ていたという思い出やその時の自分の気持ちまで詰まっているから。これを着せたらかわいいだろうな、この色はあのこに似合うだろうな、そんなことを考えながら作っている時間が何よりも嬉しく、さらにそれを我が子が着てくれたらその何十倍も嬉しかったのだろう。と、そんな気持ちに思いを馳せてしまいます。

「お下がりでもいいからほしい、って言われたこともあったけどできなかったの。だって、自分の子どものためだけに、その子に似合うようににしか作っていなかったから」その言葉に筒井さんの子どもたちへの愛と物作りへの愛が詰まっていることを実感します。

歩くたびにシャンシャンと音が鳴る、裾に小さな鈴がずらっと並んだかぎ編みの赤いワンピースや、インドのサリーで作ったセットアップなど、他にはないアイデアに溢れた楽しい作品も魅力のひとつ。懐かしくて新しい、そして眺めるだけで胸が温かくなる一冊です。
あなたも布や毛糸で何か作り出したくなるかもしれませんよ。

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