5月の第2土曜日は、WFTO(世界フェアトレード連盟)が定めた「世界フェアトレード・デー」。
日本では5月を「フェアトレード月間」として、例年さまざまな企業や団体がイベントを行っています。
sisam FAIR TRADEでも、フェアトレードにまつわる様々なお話を皆さんにお届けしたいと思います♪
今回はインドの伝統的技術「ブロックプリント」を生業とする人たちのお話です。
ブロックプリントとは?
sisamが長年大切にしてきた生地のひとつに、ブロックプリントがあります。
インドの木版職人は、シンプルにノミや木の棒を使って、とても繊細な模様まで生み出すことができるんです。
年々オーダーが減っていき、この素晴らしい手仕事が途絶えそうになっている今だからこそ、あえて私たちはオリジナルの模様を毎年デザインし、現地の人達にオーダーをしています。
さらにその木版を、大きな生地のうえに正確に押していく行程が待っています。
こちらもいざ、ベテラン職人たちの出番です。
ポン!ポン!手の感覚と独特のリズムで、みるみるうちに美しい模様が重ねられていきます。
すべての行程が、人の手の感覚にゆだねられたものだからこその滲みやずれ。
そこから感じる愛らしさや味わいは、決して機械では生み出せないものだと私たちは思っています。
ブロックプリントを生業とする人たち
今日はブロックプリントの職人たちが暮らす村をのぞいてみましょう。
自然豊かなインド西ベンガル州の「サハプール」という場所。
植物や川の匂いに包まれて、時間もゆっくりと流れているように感じます。
その中にBrindaban printという工房があります。
工房の名前にもなったブリンダバンという職人が、フェアトレードNGO「Sasha」とタッグを組んだのは30年以上前のこと。
初めは自宅の小さな作業場で数人の職人とともに、たった2台のテーブルのうえで版を押していたそうです。
この地域はプリントの生業が盛んな為、新しい職人を呼ぶことは簡単ではありません。
ただ、彼の人柄の良さに惹かれて、たくさんの職人たちが集まってきたのです。
そんなブリンダバンさんが急逝してしまったのは、工房を始めてからたった3年後のこと。
息子のディリティマンさんはまだ17歳で、自分たちだけで工房を続けることはできず、学校を辞めて、母の助けを借りながらなんとか家族を支えたといいます。
そして、生前にブリンダバンさんにお世話になったほとんど職人が、彼の人望から工房に戻ってきました。
工房の職人たちが力を合わせて少しずつ工房は大きくなっていったそうです。
今は18人ほどのメンバーと共に、息子のディリティマンさんが工房を運営しています。
彼は、自分の仕事を成功させることだけでなく、地元の職人たちが収入を得る機会やトレーニングの期間を提供することを大切にしています。
父の志を引継ぎ、皆で助け合いながらブロックプリントの仕事を続けているのです。
そんなメンバーの一人に、ベテラン職人のアロックさん(59歳)がいます。
今から17年前にこの仕事に興味を持ち、工房で働き始めました。
もともとここはジャガイモや米が盛んにつくられている土地。
アロックさんもその一人でしたが、それだけでは収入が足りませんでした。
農業を家族に任せて、自分も時々農業の方をやりながら、プリントの仕事に集中することになりました。
最初はプリンターの知識もなかったアロックさんでしたが、職人たちの下でこつこつと学び、今となっては大事な働き手の一人に。
アロックさんが働いて8年後、当時22歳だった息子のシュマンタさんも父の仕事に興味を持ち、この工房で働くことになったそうです。
今では32歳になったシュマンタさんは、とても腕の良い職人として信頼されています。
親子でプリンターの仕事に魅了された2人は、今でも15kmも離れた自宅からバイクで通っているそうです。
ブリンダバンさんから始まった、小さなブロックプリントの工房。
多くの人たちがバトンを繋ぎながら、今日も生地のうえにたくさんの模様を生み出してくれています。
白い生地のうえに、模様や色を一つずつ重ねていく難しさも喜びも、職人たちだけが知っていること。
それを手に取る私たちもまた、無意識にその喜びを受け取っているかのように、ワクワクした気持ちが湧いてきます。
sisamが今彼らと一緒に作っているのはハンカチやキンチャク、ストールなど小さめのものですが、彼らの工房の熱気や、生業にかける想いが、しっかりと込められているんです
ブロックプリントを「生業」だと語れる人たちが、10年後、50年後も、この村で活き活きと暮らしている。
AI化が進む社会の中でも、私はそんな未来を願わずにはいられません。
今年はキンチャク。今年はハンカチ。
そんな風にして、これからもブロックプリントを生活のなかに楽しく重ねていきたいと思います。
ブロックプリントを使ったアイテムたち
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「フェアトレードのある暮らし」
インドやネパールで、人の手のぬくもりを宿しながら丁寧に作られた衣服。
フィリピン山岳地帯で森林農法により育てられたコーヒー。
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