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love letter from K. Season1「時間」 時間の味

ストア:KOZLIFE掲載日:2020/03/27
コンセプター・和田健司さんによるエッセイ「love letter from K.」。
KOZでのお買い物がもっと楽しくなるヒントをお届けします。

時間の味

みなさん、いかがお過ごしですか?
2020年が明けた時は今年1年がこんな風になるとは全く予想もしていなかったですよね...。コロナウィルスによる健康被害も大きいですが、経済的被害・精神的なストレスも大きな影響があるように思える今日この頃です。在宅勤務をされている方、お子さんと一緒に毎日家で過ごされている方、本当にお疲れ様です。春になり、暖かく湿度も上がってこればきっと状況は良くなっていく事を信じて、毎日少しでも気分良く過ごせるよう今回のエッセイを贈ります。

時期は重なるもの

前回は「時間の位置」というタイトルで、物の使い方・置き場所ひとつで生活の質がちょっと良くなる、そんなお話でした。今回はそのつづき。実はついこの間まで、東京の恵比寿という所に事務所を約10年構えていました。2019年末に今後の仕事の方針を考えに考え、事務所を引き上げることを決めたのです。そして3月から自宅兼事務所として仕事をし始めました。
最終日の事務所はいつも通りの顔をしていた。
最終日の事務所はいつも通りの顔をしていた。
事務所を引き上げた理由は「時間とお金の削減、それと人生のスタイル変化」です。数年前までは色々な方が事務所に来て打ち合わせをする事も多く、恵比寿という土地柄、何かこうハリがあったのですが、仕事の仕方も変わり事務所にいない事も多くなり、時代の流れも感じている内に、もっとフットワーク軽く生きていきたい。大切にすべきは、ステータスや見栄ではなく「時間」だと。自分の持ち物も減らし、いつでも移住できるスタンスでこれから生きていこうと色々と変えていこう、そう思ったのです。

時間の断捨離

なんかこのままズルズル行くのが嫌で「えいっ!」と半ば勢いで解約届を出したのですが、まさか世界的に在宅勤務という状況になるとは思っていませんでした。家で仕事をし始めると、色々気づくことが多いですね。
まず、時間に余裕ができる。出かける準備・通勤・ランチ・打ち合わせの移動、全ての時間がゼロになりますので、平均して1日4時間以上は余裕ができます。お金も外に出ないのでほとんど使わないですが、それより自分の時間が増えたことの方が、分かってはいたものの予想以上に驚きでした。時間の余裕は心の余裕を作ります。普段はできなかった事、例えば本を読んだり・仕事の休憩がてら少し子供と遊んだり。オンとオフの切替がなかなかつかない時もありますが、それは心の問題なので自分自身で線引きをします。
こういう生活が始まると、必要な物が変わってきます。
今欲しいものは、仕事に気合いが入る着心地の良いワーキングルームウェア。家の中でスーツは少々堅苦しいので、何か自分のユニフォーム的な、身体は楽ちんで、でも心がシャキッとする服。どなたか知っていたら教えてください(笑)。食事は基本家で取る事が増え、家族の食卓が楽しくなるものも結構探しています。とはいえ、食器類は既にある程度持っていますので、ちょっと気分が上がるような物がいいなぁと。

パウダリーチーズの世界

これは結構前からずっと使っているMicroplaneのゼスターグレーター。すりおろし器ですが、この切れ味が官能的という表現に近いほど気持ちが良い。チーズからナッツ、レモンの皮まで軽く撫でるだけで削れます。我が家では食卓で使う事が多く、パスタを作った時は大体これと一緒に登場しています。コストコのパルミジャーノ・レッジャーノ。個包装のキューブ型が20個入って1400円位。このチーズかなり優秀でして、個包装なので衛生的にも管理しやすく、そのまま薄く切ってワインのお供にも良いですし、沢山入っていてかなり長持ちします。カルディなどでよく見る三角の同じチーズで900円とかしますから、これはかなりコスパ良し。
何を隠そうこのチーズとグレーターがシンデレラフィットのようにサイズがピッタリで、かなり使いやすい。これを削って料理を食べる瞬間はちょっと毎回気分が上がります。来客時もしばしば出すのですが大体みなさん「これ真似しよ?。」と言って帰って行きます。切れ味が鋭いので子供さんには注意しないといけませんが、誰でも上手に使いこなせる。皆に優しいパフォーマンス的な調理器具って探してもなかなかないんですよね。現にプロの料理人さんも使っている所をしばしば見かけます。
個人的には、毎日家でのご飯が続くとどうしてもマンネリしてしまうと思うんです。これはどうしようもない。でも、ちょっとした道具が登場することで、味だけじゃなくて雰囲気とか会話とか、閉鎖的な雰囲気に少し風通しを良くしてくれる事ってあると思ったりしています。こうやって食事の時間って楽しくなっていくんだなって。

目の前

今回の騒動が原因で、普段できていた事が出来なくなったり、不便や良くない事が多いですが、ずっと出来なかった事をこういうタイミングで「やりなさい」と直面させられているような気もしています。家族にとって家とは“帰る場所”であり、居心地の良さは“家族の質”に繋がっている。それに目を向ける時間をもらったような気がしています。目の前にできた時間をどう使うか?僕達は今、その真っ直中にいる気がしています。心配は“新しい心配”しか呼びません。だからこそ、「ちょっとした喜び」を増やして、近くにいる人達とゆっくり楽しむ。いつもの時間の表情を、少しづつ明るくしていけたらいいですよね。

つづく


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3,300円
和田 健司
オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。
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