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【わざわざの読み物】シュトレンの10年:変えたこと、変えなかったこと。

ストア:パンと日用品の店 わざわざ掲載日:2020/11/07

本当に良いと思うものを作るために。

シュトレンは開業した2009年に初めて販売してから10年以上、毎年改良を続けてきました。年月をかけて変化させ、同じものでもよりよくすること。しかし大切なことは常に大切にすること。シュトレンを作ってきた歩みは、わざわざのものづくりの象徴のように思えます。過去投稿を再編集し読み物にまとめました。

これはもうシュトレンじゃない

信じられないことだけど、これは焼いてから1年経ったわざわざのシュトレンだ。1年前に焼いたものを真空パックしたものを10本ほど、常温で保管してテストした。1ヶ月、2ヶ月と段々と開封していき、結局10ヶ月保管しておいたものがこれだ。

口にすると信じられないほどおいしくて、もうこれははっきり言って、シュトレンじゃない。滋養がつまって発酵しきって「なんか知らんけどおいしいもの」になっていて、スタッフ皆で感動しながら食べたのだった。

一番おいしい時を届けたい

元来シュトレンというものは保存性に優れた食べ物だ。それに対してわざわざのシュトレンは砂糖もバターも入っておらず、もちろん添加物も入っていないためどうしても保存性に欠ける。

だけど、熟成させた方が断然おいしい。当時は賞味期限を短くして対応するも、自分たちが一番おいしいと思う状態をお客様に食べていただくことができず歯がゆさを感じていた。また気温の高い地域にお届けしたシュトレンが、賞味期限前にカビが生えてしまうという事象が過去1,2件発生してしまったことがあった。それが数千個のうちの1個だったとしても、改善したかった。
試行錯誤の末、しっかりと真空パックができてさえいればかなり日持ちすることがわかった。この品質テストがうまくいったことで、生産体制を見直すことにした。2017年のことだ。

ベストタイミングの食べ頃で出荷するために、焼成後2週間保存し熟成させたものを販売する。到着したら即食べ頃だ。わたし達が一番おいしいと思う瞬間を、みなさんにお届けしたい。スタッフ全員で力を合わせて、冗談じゃなしに愛を込めている。

その後も毎年品質テストを繰り返した結果、1,2週間だった賞味期限は1ヶ月、2ヶ月と伸び、2020年には6ヶ月となった。例年12月に入ると即完売してしまい「今年も買えなかった」と言われてしまうことも多い。この賞味期限なら11月のうちに購入してもらい、12月まで自宅で熟成させたシュトレンを楽しんでもらうこともできるだろう。

改良、改良の連続

ライ麦の全粒粉を表面にまぶす。白い粉は砂糖ではないのです
ライ麦の全粒粉を表面にまぶす。白い粉は砂糖ではないのです
パン屋を始めた時に、冬にはシュトレンというものが売れるらしいと人に聞き、なんだそれ?と思っていろんなものを買ってみたが、食べられない。わたしは甘いものが大の苦手で、砂糖でコーティングされたものは一口でアウトだった。ならば、そんな人もいるだろうと卵・バター・砂糖を一切なしでシュトレンを作ってみようと決めた。アレルギーの方の需要もあるかもしれない。

そうしてできたシュトレンは2009年のわざわざの開業以来、お客様に愛されてきたベストセラー商品と言っても過言ではないと思う(個人的にはシュトレンのお陰で店舗を建てられたとも思っていて、心の中でシュトレン御殿と呼んでいる)。このシュトレンを作る決断をした過去の自分に感謝したい。
それから毎年お客様から頂くご意見を参考に、少しずつ改良を重ねてきた。翌年には自家製のドライフルーツも入れるなど少しレシピを変更。そのまた次の年には「焼いてすぐが旨くない」ことがどうしても気になって、届いた当日から美味しく召し上がってもらえるよう酵母量、水分量、焼成を調節し、過去2年よりふっくら柔らかく仕上げた。

そして2012年からは薪窯で焼き始めた。火加減はかなり難しく油断できないが、それまで使っていたガスオーブンと比べて一度に焼ける量が飛躍的に増えた。加えて、薪窯に蓄えられた熱は生地の内側から火を通してくれる。水分量の少ない生地でもしっとりとした質感を保てるのは、薪窯のおかげかもしれない。
その後、ドライフルーツの価格が高騰し始めたときも、販売数を上げることとドライフルーツの配合を変えることで最小限の価格変更に抑えることができた。今も年ごとにドライフルーツは吟味し、味のバランスを変更している。

2020年のシュトレンには新たに大粒のプルーンを入れた。そして、よりドライフルーツを感じられるようにドライフルーツのカットの方法も変更した。オーガニックのココナッツの甘み、ドライフルーツの凝縮された甘み、国産小麦の甘みと、自然の甘さだけで信じられないくらいの甘さを感じられるはずだ。

薪窯で焼くシュトレン

シュトレン作りは1ヶ月前、ドライフルーツを白ワインに漬け込む作業から始まっている。
シュトレン作りは1ヶ月前、ドライフルーツを白ワインに漬け込む作業から始まっている。
わざわざのシュトレンの製造手順を一部紹介する。より詳細なレシピを知りたい人は、わざわざのシュトレン レシピブックを参照してほしい。このレシピブックは「わざわざのシュトレン レシピブックセット」を買った人だけが読める秘伝の書だ。
(文責>平田はる香 写真>若菜紘之 編集>鈴木誠史)
続きはわざわざのホームページでご覧いただけます。生地を作る工程や薪窯で焼いている様子、シュトレンへの思いが詰まっていますので、ぜひ読んでみてくださいね。

シュトレンカートは毎週金曜日にオープンしています!

シュトレンは毎週金曜日の12時にカートオープンしています。今週の単品シュトレンは完売してしまいましたが、セットの在庫はまだいくつかありますのでぜひチェックしてみてくださいね。

わざわざのパンも、ぜひ一度お試しください。

ストア紹介

パンと日用品の店 わざわざ

パンと日用品の店〈わざわざ〉は長野県東御市御牧原の山の上にポツンと佇む小さなお店。“よき生活者になる”を合言葉に、薪窯で焼いたパンと、食と生活それぞれの面から、独自の選定基準を定めて自分たちが心からよいと...もっと見る

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