夏に大活躍するTシャツ。基本的にコストも低いことから、こだわりの1着を選ぶ人よりも、「店頭で見かけたら毎年1着は買っている」(そして1年後の夏はタンスにしまいっぱなし)という人のほうが多いかもしれませんね。
わざわざでは、派手さはないがシンプルで飽きないデザインのTシャツを取り揃えています。重ね着もしやすく、春〜秋まで活躍してくれるものばかりです。そして、何と言ってもそれぞれ1点ずつに尖った特徴があるのです。
Tシャツは万能ではありません。シンプルな服である分、何をコンセプトに作っているかの違いが特徴として色濃く表れているように感じます。その特徴をきちんと知った上でTシャツを選べたら、形は同じTシャツでも使い分けができるようになります。
この特集では、メーカーの特徴と合わせて、取り扱うTシャツの選ぶポイントをご紹介します。
肌で選ぶならyohaku
わざわざで最も種類豊富に扱っているのが、yohakuのTシャツ。yohakuの代表 渡辺さんの綿・糸・布に対する関心と知識はとにかく凄まじく、渡辺さんの「これ面白そう」という感覚を大切にものづくりをする姿勢が、Tシャツの特徴に表れています。感覚を大切にしながらも、糸選びから生地づくりの試作を何度も重ねて定番服を生み出しているところも、信頼がおけるポイントです。
Prestige 柔らかさが体に馴染む
使用しているのは「紡績屋さんから『いい糸があります』と連絡をもらった」というPrestigeという糸。アメリカの農場で育ったハリとコシのあるオーガニックの超長綿、Ultimate Pima(アルティメイト・ピマ)と、繊維が細くしなやかなインドの超長綿、Suvin Gold(スビンゴールド)。この2種類の綿をブレンドした高級糸がPrestigeです。この糸がしなやかな風合いを生み出しています。
さらにyohakuでは綿の風合いを活かすためにも、生地を仕上げる際に、適正ゲージと言われる標準値の編みよりもやや緩めに編み込みました。そうすることで綿のふんわりとした柔らかさを引き出し、着た瞬間にすっと体に馴染むTシャツに。さらりとした肌ざわりで、とても軽やかに感じる着心地です。
糸に光沢感があり、見た目もスマートに見えます。普段使いからオフィスカジュアルまで、さまざまなシーンで活躍しそうです。
TUTU 最高のTシャツとは何か
心地よいTシャツを作るために。yohakuさんが色々な職人の方から話を聞き、作り続けながら学んだ3つの製法がありました。
・生地を開反(開く)しない方が、生地にストレスがかかりにくい
・シンカーより吊り編みの方が、形が崩れにくく経年変化する
・製品にして水洗いすることで、より生地の風合いがふっくらとする
Tシャツとスウェットに特化した工場「谷繊維」さんとの協業で、これらを実現したのがTUTUシリーズ。1950〜60年代に活躍した旧式の編み機で、1日1mほどのゆっくりとした速度で筒状の生地を編みます。その生地を開かず筒状のまま服に仕上げることで、独特な風合いのTシャツに仕上がるのです。
こちらは「ラフィー糸」を使用。通常の綿と、落ち綿と呼ばれるリサイクルコットンを混ぜて紡いだ糸のことで、凹凸があり空気を含みます。また、落綿には短い繊維が多く含まれており、自然と糸にムラが出来ます。そのムラがヴィンテージ感と着用感を醸し出します。
KATA 「型」の考え方で
もんぺでおなじみ「うなぎの寝床」とyohakuがコラボ。うなぎの寝床の「現代風もんぺ」は、200年以上の歴史を持つ久留米絣の生地を、もんぺの型紙に当て込んでいく手法で作られています。この「型」の考え方をTシャツに応用して生まれたのがこちら。
Tシャツの型に、糸の太さや編み方が異なる生地を当て込むことで、生地の厚さや肌触りが違う多様な厚さのTシャツができました。形は同じでありながら、糸の太さと編みの違いでこんなにも質感が変化する。繊細なものづくりの奥深さも感じることのできるTシャツです。
生地(3種類)× サイズ(5種類)× 色(3種類)=45種類の中から選べるのがKATA Tシャツの本当にすごいところ。これだけの種類から自分に合ったものを選べばそれはもう、ずっと着られてずっと愛せるあなたの定番Tシャツになるはずです。
使いやすさで選ぶなら オールユアーズ
着たくないのに、毎日着てしまう 通称“着た着て”Tシャツ
使う人からアイデアを発想したアパレルを企画・製造・発送するオールユアーズ。この「発想」から「発送」までを全て公開し、その過程を楽しんでもらいながら商品を届けている会社です。
そんなオールユアーズの代表的アイテムが”着たくないのに、毎日着てしまう”シリーズ。通常のTシャツではほとんど使われない、綿70%、ポリエステル30%の経編(たてあみ)製法で編まれた生地を使っています。1本の糸が上下左右と複雑に絡み合い、その糸が元に戻ろうとすることで、一般的なTシャツと比べてシワを防ぎ型くずれしにくいTシャツに仕上がっています。
繊維長の長い丈夫な糸を使用し、シルケットという加工でハリとコシを出しています。そのサラサラとした素材感は体操服やジャージのようなイメージに近く、綿100%のものより速乾性に優れているのが嬉しいところ。洗濯から部屋干し3時間で完全に乾くので、毎晩サッと洗って翌日また着ることもできます。
さらに、株式会社西江デニムの特許技術を用いて、抗菌消臭加工を維持。Tシャツで気になりやすい、ヨレ・汗・臭いの問題を気にしなくてよくなる生地なのです。従来の素材・製法をイチから考え直すことで、「Tシャツではある程度仕方のないものだ」と諦めていたような部分を解決してくれているのが、オールユアーズなのです。
頑丈×作業性で選ぶならわざわざ
パン屋のTシャツ 柔らかいだけがTシャツじゃない
yohakuとの出会いから『パン屋が着ても大丈夫』をコンセプトに作ったのが、わざわざの「パン屋のTシャツ」です。yohakuさんの今までの服作りのノウハウと、わざわざの作りたいものをとことん話し合い、構想から1年がかりで完成したTシャツです。
パン屋はハードワークのため、丈夫な衣服でないとすぐ破れてきてしまい、買い替えが必要になってしまうのが悩みどころ。
そこで、耐久性と作業性には特にこだわって作りました。耐久性の高いものは見つかっても、袖が長く作業に向かなかったり、海外製でサイズ感が合わないことも。しゃがんで背中が見えてしまうのも嫌で、「快適に作業できてなおかつ丈夫」なTシャツを作りたい一心で作ったものです。
こちらは”度詰”という編み方で仕立てられています。密度を詰めて生地を編みたてているので型崩れや斜行せず、生地がかなり安定しています。縮率(生地を洗濯したときに生地が縮む割合)は1%未満で縮みにくいのも特徴です。
耐久性を求めた代わりに、上で紹介したyohakuのTシャツのような柔らかい着心地ではありません。そこは「柔らかいだけがTシャツじゃない。育てるTシャツがあったっていい」と割り切りました。
厚地ですので、真夏のお出かけで着用するには暑く感じるかもしれません。エアコンが効いた室内などでの作業着として活躍してくれるはず。どんな作業にもガシガシ使えるという意味で、年間を通して作業を快適にしてくれるTシャツです。
パン屋のTシャツは育て甲斐のあるTシャツ。新品の錫色(左)と、約1年ほど着用した錫色(右)。
タフなのにサラリ リネンのTシャツ
パン屋のTシャツほどではないけれど、春夏にさらっと着られる「リネンのTシャツ」の強さにも自信があります。こちらはリネンとコットンを50%ずつ配合した鹿の子編みの生地なのですが、大きめに縫製してから洗いをかけて縮ませています。つまりキュッと度詰になっていて、洗濯しても型崩れがしにくいのです。ご家庭でのお洗濯も、ネットに入れて洗濯機でOK。
型崩れしにくいながらも、このリネンと編み方のおかげで、汗をかいても体にぺったりとくっ付かないサラリ感が快適です。サイズもぴったりからゆったりまで5サイズ用意していますので、男女兼用ユニセックスで着ることができます。夫婦で共有する方もとても多い商品ですよ。
わざわざ|さらさら鹿の子 リネンのTシャツ【ユニセックス】
天然素材と製法にこだわり、全体的にやわらかい着心地であるyohakuのTシャツ。化学繊維や加工技術もうまく活用しながら、毎日繰り返し気軽に着られるオールユアーズの“着た着て”。そして、快適さと丈夫さのちょうど良いバランスを求めたわざわざのTシャツ。
それぞれのTシャツの特徴を見定めて、お手持ちのTシャツと使い分けてみると、これからどんどん暑くなる夏を少しでも快適に過ごせるはず。そして、使い込んだあとにはぜひお手入れを。1年後も2年後も繰り返し着るのが楽しみになるような心地良い1着を、生活に取り入れてみてくださいね。
わざわざのパンも、ぜひ一度お試しください。
ストア紹介
パンと日用品の店 わざわざ
パンと日用品の店〈わざわざ〉は長野県東御市御牧原の山の上にポツンと佇む小さなお店。“よき生活者になる”を合言葉に、薪窯で焼いたパンと、食と生活それぞれの面から、独自の選定基準を定めて自分たちが心からよいと...もっと見る