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love letter from K. 最終話 「LAST LETTER FROM KENJI.」

ストア:KOZLIFE掲載日:2024/05/30
コンセプター・和田健司さんによるエッセイ「love letter from K」。
KOZでのお買い物がもっと楽しくなるヒントをお届けします。

最終話 「LAST LETTER FROM KENJI.」

初回の記事は2020年3月6日。世の中がパンデミックの渦に入りかけたあの頃。ダイヤモンドプリンス号、東京オリンピックの延期。急に家にとどまることを余儀なくされた私たち。その気分を少しでも良くするためにと、この連載がスタートしました。

それから4年。合計77話、4年に渡るエッセイLLFKは、今回をもって終了します。何事も根気よく続けられない自分が、よくもまぁこんな長い間連載できたものです。

最後に何を書こうか、何を書こうか…と1ヶ月程悩みました。ふと、過去の文章を読み返していると、自分は、なんて斜めから物事を見る人間なんだと呆れる反面、それでここまでやってきたのだからと微笑ましい気持ちにもなるのです。

最終話は、あとがきとして、過去の自分の言葉にコメントや裏話をしながら、4年という歳月を皆様と一緒に感じていこうと思います。

いつもと違う方

お金は沢山あるに越したことはない。ですが、お金がありあまると、ひとつひとつの買い物に鈍感になります。それと同じで、時間がありあまると一瞬一瞬を大切にしなくなる。本当にそれで良いのでしょうか?本当の時間の使い方って何なんだろう?そうずっと考えています。もしかするとその答えのひとつは、「いつもと違う方を選んでみたら」という思考回路で、一瞬一瞬を寄り道しながら笑って楽しんでみる。そこに何か気付きがあると思うんです。 
花見もできず、ステイホーム真っ直中でした。買い出しもままならないので、じゃがいもの代わりにポテチを使って料理をしたりと、色々と工夫をして過ごしてましたね。今思えば、工夫すれば楽しく過ごせるということを学んだ大切な時期だったのかもしれません。

囲まれるだけ

自分のスタイルがわからない時は、真似してしまってもいいのではないでしょうか。「いいな。」と感じたらやってみればいい。そこで、しっくり来て使い続けられるものがあればいいし、違うと思ったら辞めればいい。自分で選んだ「毎日触れるもの」がひとつふたつ・・・と増えていく。増えて行けば行くほど、自分の中に”いつもの感覚みたいなもの”が自然と生まれてくる。僕はそれが「自分っぽさ」になる思っています。無理に見つけようとせずに、心地良いものに囲まれるだけで充分な気がしています。
なんかいいな、と波長が合う物に囲まれながら毎日を過ごすと、最初は誰かの真似でも、知らない内にそれが自分のアイデンティティーになっている。4年経った今でも、Simplehumanのゴミ箱は、僕を構成するアイテムのひとつ。ミニマルな佇まいと音を立てずに閉まる。それだけなんだけど、波長が合うんです。

自分を祝える心

このグラスを使い始めて気づいた事があります。それは、「道具は人の心境を変える」ということ。これだけ世界が慌ただしい状況になると、一番ないがしろになるのは「自分を褒めること」ではないでしょうか。今の状況じゃまずいぞ、もっと頑張れ、そう無意識の内に自分に言い聞かせ、ストレスを感じている人は多いように思います。僕はこのグラスで夕暮れに好きなお酒を一杯だけ飲むと、今の自分を褒めているような感覚になって、ふっと楽になる。
KOZLIFEさんから買ったシャンパングラスで飲むのを楽しみに、冷凍庫で事前に冷やしていて、パキッと割ってしまった悲しき出来事。文章では余裕かましてますが、実は相当悔しくて、自分を褒めるどころか、飲むしかないだろ!と暗くなる前にお酒を飲み始めたというのが実の所。今は絶対に冷凍庫で冷やさないように残りの3脚と過ごしています。

とりあえず焼いてみろ

その場でアイデアを出して、つべこべ考えずにすぐにやってみる。普段の生活ではあまり遭遇しない事だと思いますが、意外に大切な事が隠れているんじゃないかと。これをやっていると、回を重ねるごとに上手く作れるようになっていくのが分かるんですね。つくづく物事っていきなり正解が出せる訳ではなくって、トライアンドエラーの連続なんだなぁと。
まずは、何も考えず鉄板を机にセッティングしてみてください。「とりあえず焼いてみろ」と鉄板がそう言ってきますから。
家ご飯が続いて少し疲れてきた時のお話。ノープラン鉄板焼(略してNPT)なんて自分で勝手に命名して啓蒙していましたが、周りの友人からは真似してやってみた!なんて声も聞きLLFKの中ではヒット回だったのでは?と。ここ最近、やってないのし、家ご飯も少しレパートリーがなくなってきたので、久々にやりますかNPT。

生き事

「仕事が大好きだったのに、いつの間にか嫌いになった。」「でも、自分のやりたい事がわからない。」街を歩いている人々を見ながら、きっとそう悩んでいる人も多いんだろうなぁ…と。僕もその一人かもしれません。そんな簡単に自分の生き方は決まらないかもしれませんが、やっぱり無理をして仕事続けるのは良くないと思います。生き方に即していない仕事はキッパリやめた方が幸せになれると思います。ここ数年こういった話題が上がるのは、その移行期の真っ直中なんでしょうね。

仕事という字は、「仕(つか)える事(こと)」と書きます。これまでの日本人は表情を抑え、国や会社に仕え、一生懸命働いてきました。先人の努力のお陰で経済的にも文化的にも豊かになりました。これは本当に有り難い事で、そこには恩しかありません。でも、これをずっと続ける必要はないと、僕は思っています。仕える事はちょっとお休みして、探すべきは「生き生きできる事=生き(いき)事」の方なのだと。表情豊かな言葉を操る、表情豊かな日本人に進化していきたいものです。
「日本人はあまり笑っていないし、いつも何か心配事があるような顔をしている。」というベトナムの留学生の言葉が刺さった回でした。働き方がぐっと変わってから数年。リモートワークは定着し、何か良くなった気もしますが、状況はあまり変わっていないような…。電車の中で、皆が楽しそうに笑っている朝は、いつやってくるんでしょうね。

人生は旅のようなものである

これまでの僕であれば、自分の納得するまで相手とコミュニケーションを重ねる事が多かったのですが、今回はそうじゃないなと。誰にでも間違いはあるし、「それを受け入れる器量を備えろ」と神様に言われているような気がして。なので、笑い飛ばすことにしました。なんくるないさ~と。そして、家族にも話さないことに決めました。

ひとつひとつの出来事を気にして、もじもじしていないで前に進め。どうしたらこれをプラスに持って行けるか考えろ。そう思うようにしたら、凄く気持ちが楽になったのです。そして自分自身少し成長した気がして。なので、一旦は心にしまっておこうとしたけれど、誰かの何かのきっかけになるかもしれないので、今こうして文章にしています。

この間違いのお陰で、家族に思い出ができ、久しぶりの再会をし、楽しい時間を過ごさせて頂き、その方達の記憶に残れた。そして少し成長できた。そんな沖縄が、もっと好きになりました。本当、人生って旅のようですね。
おそらく全77話の中で一番衝撃の回でしょう。「悪い出来事に向かい合う」というのは自分を一回り大きくしてくれる最良の方法かもしれません。この事をきっかけに、許す感覚を覚えれたのは今こうして考えれば、有り難い事でした。(当時は微塵にも思わなかったけど)本当良かったよ、あの時怒らなくって…。

さいごに

皆さんにとって、この4年という時間はどんな風に流れていきましたか?きっと、僕もあなたも、同じ事を感じたり、悩んだりしているんだと思います。なんか大変な4年間でしたよね…。でも小さな楽しみが輝いて見えた4年間だったとも言えますよね。

“日常生活からふと何か「気づくこと」って、ありますよね。”という書き出しで始まったこの連載。どんな小さな言葉でも、読んで頂いた方の心の中に、留まってくれるものがあったら、それは「気づき」であり、それで僕は幸せです。

まずは、ここまで自由に書かせて頂き、暖かく見守って頂いたKOZLIFEの皆様、本当にありがとうございました。

そして、1段落でも目を通して頂いた読者の皆様、長い間ありがとうございました。

伝えていく活動は、これからも続けて行きますので、また皆様とお会いできる日を楽しみにしていますね。

さいごは、連載に登場した写真と4年後の写真を並べて、お別れしましょう。
いやぁ、楽しかった!!!ありがとう!!またね!



LLFKおしまい

この記事で登場したアイテムはこちら▼

Bormioli Rocco|Bodega Glass cup(ボデガ グラスカップ/3個セット)
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1,881円
Piccolo ピッコロ シャンパングラス/ワイングラス
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3,300円~
和田 健司

オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。
和田 健司

オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。
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