木の器・カトラリー
かつて工場がなかった頃、人は手で全てのものを作り出していました。
目指すは均一な美しさ。長く仕事に携わり、研究し鍛錬を積むと、人の手で作ったとは思えないような均一な作品が生まれていきます。その手仕事の技術は「職人技」と言われ高く評価されました。
工業化が進み、均一なものを大量に作れるようになった今、わざと工業製品に「揺らぎ」を作るような動きも出てきていますが、しかし手仕事による均一な美しさはやはり魅力的なもの。この記事では、高い技術を持って作られている、椿井木工舎さん、ろくろ舎さんの木の器・カトラリーをご紹介します。
椿井木工舎 × わざわざ 「コーヒーメジャースプーン」
わざわざの姉妹店・問touでは、コーヒー豆をセラーメイトのガラス瓶に入れて保管しています。この瓶にスプーンも一緒に入れて保管したい!という願望を実現していただいたのが、椿井木工舎×わざわざのコーヒーメジャースプーンでした。
二宮さんによれば、明確なデザインを実際のかたちにするために必要なのは「治具(※)を使った効率的な加工」と「手仕事による加工」だと言います。このコーヒーメジャースプーンを新たに作っていただく際にも、治具を新たに作るところから二宮さんの製作は始まりました。
※治具(じぐ):加工や組み立ての際に部品を固定し、作業をやりやすくするもの
2020年2月の販売開始からこれまでおよそ400本以上を製作していただいているこのコーヒーメジャースプーン。二宮さんはご自身のSNSで「作るたびに、ものの品質と自身の限界値が段々と上がっていることを感じます」と語ってくれていました。一度限りでなく新たな定番となってものづくりを継続できることに、私たちも喜びを感じます。
まるで金属のスプーンのように、すくう部分の縁は薄くシャープに作られています。保存瓶の底に残ったコーヒー豆も大変すくいやすいという機能にも優れています。
流線形に伸びた柄の佇まいは美しく、持ち手の具合の良さとスプーンの程よい重みと大きさがバランス良く調和しています。
7つの工程を経て作られているコーヒーメジャースプーン。商品ページでは製作工程を詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
椿井木工舎 × わざわざ|コーヒーメジャースプーン
椿井木工舎のカトラリー
シュトラッセトレー
長野県朝日村のカフェ用に製作した「シュトラッセトレー」。このトレーでは、裏面の両サイドを指をかけやすい形状に加工して持ちやすさを高めるなど、お店で提供する際にも使いやすくなる工夫が詰まっています。
ちょうど指がはいるような形状で、厚みはおよそ15mm。指を入れて持つときや、上に食べ物を置いたときにも安定感のある厚みです。
ベビースプーン
椿井木工舎の開業当初から製作を続けているベビースプーン。意見を受けて改良を重ね、赤ちゃんの手でも握りやすいように適度な太さと丸みを有した現在の形に至ったといいます。
樺で作られたやさしい曲線。これも、正確な手仕事なしにはありえません。
ろくろ舎 「BASE 01シリーズ」
越前漆器の産地・福井県鯖江市で活動されている、ろくろ舎・酒井義夫さん。「丸物木地師」の職人の技術を継承しながら、“価値の再定義”をコンセプトにプロダクトを製作しています。
こちらの「BASE」シリーズは、ろくろ舎の基本となるプロダクトライン。本来であれば漆の色で隠れてしまう木地が、あえてそのまま活かされています。
そして、器を支える土台である高台部を力強く強調した形も特徴的です。これは、酒井さんが木地師の視点からデザインしたもの。
高台を高くした、大きく存在感のある形。(BASE01 汁椀)
しっかりとした高台は見た目からしても秀逸ながら、手に取りやすくて持ちやすく、安定感も生まれるなど、デザインとしての理由があるのです。
漆器作りには、木地師、下地師、上塗り師、蒔絵、沈金師などそれぞれ専門の職人がいます。ベースとなる木地作りを担当するのが木地師で、中でも椀のようにろくろで丸く挽く木地師を丸物木地師と呼びます。
美しい装飾こそ漆器の魅力とする向きもあるでしょうが、その基礎・土台となる形も、ひとえに職人の手仕事によるもの。
正確な手仕事によって作られる、均一な形をした器・カトラリー。ぜひひとつお手にとって、その手仕事に触れてみていただきたいと思います。
ストア紹介
パンと日用品の店 わざわざ
パンと日用品の店〈わざわざ〉は長野県東御市御牧原の山の上にポツンと佇む小さなお店。“よき生活者になる”を合言葉に、薪窯で焼いたパンと、食と生活それぞれの面から、独自の選定基準を定めて自分たちが心からよいと...もっと見る