こんにちは、フードオーケストラです。

数年前、京都・南山城村にある陶芸家・清水善行さんの元を訪れ、あるお茶との出会いがありました。
それは、いちばん茶（新茶）を焙じてつくられた、特別な「在来ほうじ茶」でした。

一口飲んで、驚きました。
芳ばしさの奥に、緑茶のようなやわらかな甘み。
「こんなほうじ茶、初めてだ……」というのが正直な感想でした。

この出会いをきっかけに、数年前から毎年このお茶を届けていただいています。
今年もまた、2025年の新茶で作られた在来ほうじ茶が届きました。

多くのほうじ茶は、収穫時期が遅い茶葉や下級茶を焙じて作られます。
ですがこのお茶は違います。新茶として飲んでも抜群に美味しい一番茶を、丁寧に焙じて仕上げられたほうじ茶です。

しかも、使われているのはこの土地に残る「在来茶」。
品種改良される前の、昔ながらのお茶の木から摘まれた新芽です。
その生産量は年々減っていますが、茶農家の柚木喜彦さんが手間を惜しまず育て続けています。

このお茶の焙煎を手がけているのは、陶芸家の清水善行さん。
初めてこの在来茶を飲んだ時、「自分が一生飲み続けたい」と感じ、農家さんに作り続けてもらえるよう全国で紹介しはじめたそうです。

焙煎は浅煎りにとどめ、煎茶としての甘みと香りがほんのり残るように仕上げられています。
その加減は、手の感覚と経験に委ねられたもの。

まるで茶葉が語りかけてくるような、丁寧な味わいです。

清水さんは、急須を持たない人が増えていることを残念に思っておられました。
茶葉からお茶を淹れ、器を愛でながら飲む時間――
それは、ひとつの文化でもあると私たちも感じます。

このお茶を通して、ほっとひと息つく時間、誰かと語らう時間、心をととのえる時間が生まれたら嬉しいです。

童仙房の在来ほうじ茶は、水出しでも美味しくいただけます。
急須で淹れるあたたかな一杯もまた格別です。

特別な日だけでなく、日常の中の「ちょっと贅沢な時間」に。
ぜひ、お試しください。