「自然−作る人−食べる人」という関係のあいだに、利他がはたらく。
世界の劇的な変化が語られがちな中、私たちが見つめ直し、変えられるのは、日常の中にあることから、ではないか。利他の本質は、「料理」や「建築」など、日々の暮らしの中にこそあるのでは?
ベストセラー『一汁一菜でよいという提案』等の著書や料理番組で活躍する料理研究家の土井善晴さんと、『中村屋のボーズ』等の著書がある政治学者であり、最近は「利他」を主要なテーマの一つに研究をしている中島岳志さん。
異色の組み合わせのお二人が、家庭料理、民藝、地球環境、直観、自然に沿うこと…などなど。
縦横無尽に語らい、コロナ禍のステイホーム期間に圧倒的支持を受けたオンライン対談「一汁一菜と利他」が、ライブの興奮そのままに一冊の中に完全再現されました。
料理研究家。1957年、大阪生まれ。フランス料理や日本料理を学んだ後、土井勝料理学校講師を経て、1992年に「おいしいもの研究所」を設立。十文字学園女子大学招聘教授、東京大学先端科学研究センター客員研究員。NHK「きょうの料理」、テレビ朝日「おかずのクッキング」の講師を各30年務めている。著書に『一汁一菜でよいという提案』『おいしいもののまわり』『土井善晴の素材のレシピ』などがある。
1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。北海道大学大学院准教授を経て、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『パール判事』『朝日平吾の鬱屈』『保守のヒント』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『岩波茂雄』『アジア主義』『下中彌三郎』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』『保守と大東亜戦争』、共著に『現代の超克』などがある。
――はじめにより――
土井善晴さんのことを強く意識しはじめたのは、数年前のことです。もちろん土井さんのお顔はテレビでなじみがありましたし、料理番組も何気なく見たことがありましたが、じっくりと土井さんの考えと向き合ったことはありませんでした。私は大阪で生まれ育ったため、同じ大阪弁の土井さんの語りを聞いて「気さくな大阪のおっちゃんやな〜」と思い、漠然とした共感をもってテレビを見ていました。しかし、認識はその程度のもので、深い関心をもっていたわけではありませんでした。
一方で、土井さんのことを、私に熱心に語る人が身近にいました。妻です。彼女は料理についてとくに詳しいわけではなく、熱心なタイプでもないのですが、なぜか土井さんに強く共感している様子で、私に「土井さんの料理番組を見たほうがいい」と薦めました。そして、私と考え方が近いのではないかと言うのです。
最初はなんとなく聞き流していたのですが、何度か言われると気になるもので、ある日、インターネットで土井さんのことを調べてみました。すると「土井さんの言葉に救われた」「土井さんの本を読んで楽になった」という感想をもつ人が大勢いることを知りました。
――なんでだろう?
率直な疑問と関心が湧きました。
さまざまな問いが、「料理」を通じてクリアになってくるような感覚。読みながら、お二人の対話に参加している気分になれる一冊です。
・視野が一万倍くらい広がりました。
・日常を生きること料理して食べることが利他と地続きだなんて驚きです。
・コロナの自粛期間中は、食品の買い出しと食事作りと後片付け、献立や何を買っておくべきかを考えるのがとても大変で、食事周りのことに時間を奪われているみたいで嫌になっていたけれど、おかげさまで気持ちをリセットすることができました。
・本当に素晴らしい時間でした。まるで和食をいただいたような感覚になりました。一汁一菜と仏教が重なるとは思いもしませんでした。
親子で一緒に、ひとりでじっくり。
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