山形打刃物の職人が製作する、小さな包丁です。量産品の包丁とは異なり、いわゆる鍛冶屋の仕事で、一点一点鋼を打ち、成形する打刃物です。
2015年秋から冬にかけて、「毎日使う打ち刃物の包丁」というテーマで山形で開催した"みんなのどうぐ #02"。4ヶ月ほどかけて回を重ねて、山形に暮らす使い手の皆さんと、山形市内に工房を持つ島田刃物製作所と作った包丁です。先が丸いユニークな形の小さな包丁が完成しました。
製作現場の取材見学から、企画開発会議、製品を使ってのお披露目会まで、全ての製品開発ストーリーを公開しています。"みんなのどうぐ"と製作過程について詳しくは、以下のリンクをご覧ください。
この包丁を考えるにあたり、打ち刃物の包丁を、どうしたら日常の生活の中で使えるか?ということを出発点としました。
おそらく、皆さんいわゆる三徳(文化)包丁と呼ばれる包丁をメインに使っているのではないでしょうか。料理好きな方でしたら、他にも数本をお持ちで、使い分けているかもしれません。
三徳包丁とは別に、使い勝手が良く登場回数の多い、「毎日使える2本目の小さな包丁」を作ろう、と考えました。
詳しくは先のリンクでレポートしていますが、包丁を使うシーンを考え進めてゆくと、「三徳包丁では使いにくい場面」→「芋などの小さな野菜や果物の皮むき」という意見があがり、より具体的なシーンが決まってきました。
そうして完成したのが、この"たがる包丁"。「たがる」とは、山形の方言で「携える、持ち運ぶ」の意。アウトドアをはじめ、料理教室など、家の外でも持ち運んで行って使いたい、そんな包丁になりました。小さなサイズで、先が丸い形が特長です。外での使用、日常の家の中の調理や、果物剥きなどのちょっとした包丁使いの場面でも使い勝手が良く、まさに、毎日使える小さな包丁です。
・いわゆるペティナイフと呼ばれる小さなサイズ
三徳包丁など、大きな包丁だと扱いにくいもの。里芋、じゃが芋、りんごをはじめ、小さな球体の野菜や果物の皮むき。ここで活躍する刃の大きさと形を考えました。
・刃先が丸い形
芋煮(先の詳細リンクを参照ください)をはじめ、キャンプやバーベキューなどアウトドアの調理では、共有スペースでみんなで作業することも多いです。狭いスペースや、人が多い場所でも使いやすいです。
移動先だけではなく、普段、小さな野菜果物や菓子を切る時にも。お子様のファースト包丁に選ぶ方もいらっしゃいます。
・小さなサイズと、丸い刃先。専用ケースも。
刃物や包丁を持ち運ぶのは、移動中も恐いもの。先が丸く、外出先で使うシーンにも持ち運びやすい包丁です。
たがる包丁専用のレザーケースが2種類あります。ご希望の場合は、ご注文の際オプションよりお選びいただけます。
・刃の部分が直線のため、研ぎやすく
一般的な包丁と同様、長くお使いいただくには必要な研ぎ。研ぎ屋さんに出される方が多いと思いますが、折角の打刃物を自ら研ぎをする方にも、研ぎやすいように工夫しました。先は丸いですが、刃は直線部分にのみ付けています。
打ち刃物の包丁には和食の料理人が使う「片刃」のものが多いですが、この包丁は「両刃」です。一般的な包丁と同じですので、ご安心ください。両刃は左右対称に刃が付いていますので、右利き・左利きどちらでもお使いいただけます。
伝統的な打ち刃物の製法で作っています。
量産品の包丁は抜き刃物といいます。型で抜いた包丁作りで、コストが抑えられる大量生産方式です。
一方、打ち刃物はいわゆる鍛冶屋の仕事で、一点一点鋼を打ち鍛え、成形します。もともとは鍬などの農具の製作、包丁は日本刀を原型とする製法で、山形では650年もの歴史を持ちます。
合わせ刃(合わせ包丁)と呼ばれる仕様で、「地金」と呼ばれる柔らかい金属で、刃先になる硬い「刃金」を挟み込むような構造です。素材は、地金には日常使いしやすいようにステンレスを、刃金は鋭い切れ味と耐摩耗性を併せ持つ青紙2号という鋼を使っています。
ステンレスと鋼を鍛接(たんせつ)し、高温に熱して打ち叩き、鍛えます。この工程によって金属内部の組織が密になり、強度と粘り強さが高められます。常温の状態でも打ち叩き、鍛造を行い、削って刃作り。何度も確認して歪みを取り、研ぎを繰り返して完成します。
刃には槌目が残っていますが、これは打ち刃物ならでは。この槌目の凸凹で、切った食材が刃から離れやすいという面も。
柄は、山形市内で採れた槐(えんじゅ)の木を使っています。打ち刃物と木の柄は製法技術も素材も異なるため、一般的には別で製作された柄を付けることが多いですが、PINTで扱う島田刃物製作所の包丁は全てオリジナルで、島田さんご自身が木の柄を削って製作くださっています。
和包丁は差し込む形状が多いですが、洋包丁のように木で挟み込んで真鍮で留めています。木の質感を残しながら表面を保護をし、メンテナンスも不要のためラッカー塗装仕上げにしています。
・刃の部分に鋼を使用しているため、鋼部分の錆はご注意いただく必要があります。また、柄部分も木を使用しているため、水気にはご注意ください。この点以外は、一般的な包丁と大きな違いはありません。
・食洗機のご使用はお避け下さい。
・水洗いした後には、ふきんなどで水分を拭き取ってください。
・錆が付いた場合は、市販の錆取り剤などをご使用ください。中でも、消しゴムタイプの錆取り剤は、使いやすく、刃を傷つける心配も比較的少ないため、おすすめです。
・製作くださっている島田刃物製作所による、研ぎ直し、刃こぼれ等の修繕も承ります(有料)。PINTまたは島田刃物製作所までご相談ください。
ホックありとホックなし、2種類あります。
"たがる包丁"専用に製作しているケースです。包丁本体を既にお持ちのお客様からの追加ご注文のためケースのみの販売を行っておりますが、必ず"たがる包丁"にお使いください。他の包丁では形が合わず、怪我につながる恐れもありますので、ご注意ください。
アウトドアや料理教室等、持ち運びと移動が伴う調理シーンに。また、家の中での保管にも便利です。
牛革に、真鍮製のホック(スナップボタン)。PINTのレザーシリーズと同じ、東京都浅草の皮革製品の職人による製作。ミシン縫製です。
ホックを閉めることで刃を留める仕様です。こちらは、サイズが同じ"鍛冶職人の小さな包丁"にも使用可能です。
スライドして入れるだけの仕様です。刃の形にぴったり合わせた型ですので、この構造でも外れたり抜けたりはしません。数年間の試用を行なっていますが、革の伸びもなく使用いただけます。(伸びが見られた場合は、怪我を防ぐため使用を止め、ご連絡ください)
こちらは手縫いで、素材は牛革です。千葉県で手縫い革小物の作り手による製作。ホック付きの革よりも若干薄いです。
仕様上、刃を革で挟み留めるような構造になりますので、"たがる包丁"専用で、”鍛冶職人の小さな包丁”には使用できません。
また、こちらはホックありのように、刃の動きを止めるような構造にはなっていません。頻繁に持ち運びされる方で、不安な方にはホックありタイプを推奨します。
どちらも牛革ですが、革の種類は異なります。ホックありの革のほうが、若干厚みがあります。
革は天然素材のため、色や表情には個体差があります。革の表情については、不良品と判断される程度が大きなもの、使用に支障のある箇所は製作時に除いています。お届け品は、革の状態に関して全て良品判断のものとなりますので、予めご了承くださいませ。
パソコンのモニター環境や携帯電話の機種・設定によって、商品の色味や素材感などが実物と異なって見える場合がございます。予めご了承くださいますようお願いいたします。
- カテゴリ
- 生活雑貨 > キッチン用品・調理器具 > 包丁・ナイフ
- ブランド
- PINT
- シリーズ
- 包丁
- 素材
- 刃 鋼(青紙2号)・ステンレス
柄 槐|えんじゅ(山形)
ケース(ホックあり) 牛本革・真鍮
ケース(ホックなし) 牛本革
- サイズ
- 全長 22.5cm
刃渡り 10.2cm
- 仕様
- 刃 合わせ包丁・両刃
柄 ラッカー仕上げ
- 生産地
- 包丁 山形
ケース(ホックあり) 東京
ケース(ホックなし) 千葉
- 外装
- 専用箱入り
- 備考
- *木は天然素材のため、木目や色は1点1点異なり、写真と色味が異なる場合があります。また、手で削っているため、形に多少の個体差があります。木目や削った際に生じる濃色箇所や小さな削り跡など入る場合がありますが、使用・堅牢度ともに問題なく、良品と判断したもののみお届けしています。万一、この箇所から問題が生じた場合は、交換・付替等無償にて対応いたします。
*木の柄はラッカー塗装仕上げです。塗装完了後すぐにお届けする場合、塗装工程で使用する揮発性の溶剤の匂いが若干残っている場合があります。匂いがある場合は、棚の引出しなど狭い空間に閉じ込めずに(匂いが篭る場合があります)、風通しの良い場所で保管ください。使用と、時間の経過とともになくなります。