山形打刃物シリーズの出刃包丁。
1本目のメイン包丁が三徳包丁や牛刀、2本目のサブ包丁を"たがる包丁"や小さな包丁とすると、3本目がこの出刃包丁。
出刃包丁と聞くと、「魚を捌く」包丁というイメージが強いと思いますが、それだけではないんです。出刃包丁を作るまでのことも含めてご紹介します。
一番最初に製作した"たがる包丁"の後、三徳包丁のリクエストをたくさんいただいて作った「鍛冶職人の包丁」。
初めての打ち刃物の包丁で選んでくださる方も多く、使ってみてわかる抜き刃物との違い。手で持った心地、切れ味の良さを実感いただき、2本揃えられる方がたくさんいらっしゃいました。
製作くださっている島田刃物製作所の島田さんと「家で使う打ち刃物の包丁」の3本目の包丁を改めて一緒に考えたのが、この出刃包丁。魚を捌くイメージですが、島田さんは硬い野菜などにもよく使うのだそう。他の包丁とは刃の形も厚みも異なるため、調理対象の幅を広げ、使い分けの選択が深まります。
上級者向けの包丁に思われがちですが、メインの包丁とサブのペティサイズをお持ちで、その次をお考えの方にはおすすめしたい包丁です。
出刃包丁は、主に魚を捌くときに使われる包丁。特徴は、「肉厚で重い刃」「片刃」ということです。
魚の頭を落としたり、骨を切ったりするときなど、刃が欠けないよう、肉厚で重い刃になっています。
見た目からも他の包丁とは明らかに違う、分かりやすい特徴です。
この刃が、とうもろこし、かぼちゃ、栗など硬いものを大きく切るときなどにも便利です。刃こぼれの心配もなく、重さが活きて切りやすいです。ただ、次に紹介する片刃の形状によって適さない面もあるため、特徴を踏まえた上でお試しください。
他の包丁は、一般的な包丁と同じ両刃で作っていますが、出刃包丁は片刃で作っています。日本で生まれた形で、和食の料理人が使っている包丁は片刃が多いです。写真のように片側に、斜めに刃がついています。食材に対して刃を押したときに、包丁が逃げていく動きになります。まっすぐ押すと、斜めに入るイメージです。そのため、魚をおろすときに骨に沿って身を「削ぐ」動きや、桂剥きのように「剥く」動きに適しています。
余談ですが、日本刀は片刃、西洋の刀剣は両刃と言われます。防具や燃料と製法の違いなどから、日本刀は「断ち斬る」、西洋の刀剣は「叩き斬る」目的により作りも異なっています。
和包丁の中でも両刃と片刃があります。和食の料理人が使う包丁は片刃のもの。PINTの打ち刃物シリーズは日常使いをテーマにしているので、基本的には洋包丁に属する形で、両刃で作っています。この出刃包丁のみ片刃です。
片刃は利き手により、刃の向きが変わります。右利き用と左利き用で、価格が異なります。本ページ文中に掲載している写真は全て右利き用です。(ご注文オプションの"左利き用"欄には左利き用の写真をご用意しています)
冒頭で紹介したように、島田さんの使用方法を聞いて、硬いトウモロコシや、キャベツの千切りも試してみました。
刃の形状から、千切りなど細く切る場合は真っ直ぐ刃が入る両刃の方が適しているとも言われます。刃の入り方が両刃とは異なりますが、一方で、片刃のこの出刃包丁は重みがあって切りやすさがありました。便宜的に◯◯用と区切られることも多いですが、使い方、使う人、力の入れ方によって変わり、その境界は曖昧なもの。
道具に合わせたり慣れる必要がありますが、使いようで幅は広がります。名前や用途にとらわれず、素材や形の特徴に合わせて、ご自身に合いそうな包丁を選んでいただけたら嬉しいです。
伝統的な打ち刃物の製法で作っています。
量産品の包丁は抜き刃物といいます。型で抜いた包丁作りで、コストが抑えられる大量生産方式です。
一方、打ち刃物はいわゆる鍛冶屋の仕事で、一点一点鋼を打ち鍛え、成形します。もともとは鍬などの農具の製作、包丁は日本刀を原型とする製法で、山形では650年もの歴史を持ちます。
合わせ刃(合わせ包丁)と呼ばれる仕様です。両刃の包丁も同じですが、両刃の場合は硬い刃金を柔らかい金属で挟み込みます。片刃の場合は硬い刃金の上に柔らかい金属を重ね合わせる構造です。
素材は、この出刃包丁は鋼(安来鋼青紙2号)・極軟鋼。全て鋼ですが、硬さの異なるものを合わせています。
ステンレスと鋼を鍛接(たんせつ)し、高温に熱して打ち叩き、鍛えます。この工程によって金属内部の組織が密になり、強度と粘り強さが高められます。常温の状態でも打ち叩き、鍛造を行い、削って刃作り。何度も確認して歪みを取り、研ぎを繰り返して完成します。
この出刃包丁は他の包丁と形状が異なりますが、これもオリジナルの木の柄。打ち刃物の包丁でも、柄は外注品を取り付けることが多いですが、PINTの包丁は島田さんが1点1点削り製作くださっています。
出刃包丁は、伝統的な和包丁にある形ですので差込型の柄になります。欅の木に、銅を巻いて仕上げています。この口輪と呼ばれる部分がプラスチックのものが多いですが、島田さんにどうしてもとお願いし試作を重ね、オリジナルの銅の口輪ができました。島田さんに、刃、口輪、木の柄まで全て製作いただいています。
木の質感を残しながら表面を保護をし、メンテナンスも不要のためラッカー塗装仕上げにしています。
打ち刃物の包丁は初めてという方にも選んでいただけるよう、伝統的な製法で作りながらも、今、毎日使い続ける包丁としてのバランスを考えました。
・刃の部分に鋼を使用しているため、鋼部分の錆はご注意いただく必要があります。また、柄部分も銅と無垢材を使用しているため、水気にはご注意ください。この点以外は、一般的な包丁と大きな違いはありません。
・食洗機のご使用はお避け下さい。
・水洗いした後には、ふきんなどで水分を拭き取ってください。
・錆が付いた場合は、市販の錆取り剤などをご使用ください。中でも、消しゴムタイプの錆取り剤は、使いやすく、刃を傷つける心配も比較的少ないため、おすすめです。
・製作くださっている島田刃物製作所にて、研ぎ直し、刃こぼれ等の修繕も承ります(有料)。PINTまたは島田製作所までご相談ください。
パソコンのモニター環境や携帯電話の機種・設定によって、商品の色味や素材感などが実物と異なって見える場合がございます。予めご了承くださいますようお願いいたします。
- カテゴリ
- 生活雑貨 > キッチン用品・調理器具 > 包丁・ナイフ
- ブランド
- PINT
- シリーズ
- 包丁
- 素材
- 刃 鋼(安来鋼青紙2号)・極軟鋼
柄 欅・銅
- サイズ
- 全長 29.5cm
刃渡り 15.0cm
- 仕様
- 刃 合わせ包丁・片刃
柄 ラッカー仕上げ
- 生産地
- 包丁 山形
- 外装
- 専用箱入り
- 備考
- *木は天然素材のため、木目や色は1点1点異なり、写真と色味が異なる場合があります。また、手で削っているため、形に多少の個体差があります。木目や削った際に生じる濃色箇所や小さな削り跡など入る場合がありますが、使用・堅牢度ともに問題なく、良品と判断したもののみお届けしています。万一、この箇所から問題が生じた場合は、交換・付替等無償にて対応いたします。
*木の柄はラッカー塗装仕上げです。塗装完了後すぐにお届けする場合、塗装工程で使用する揮発性の溶剤の匂いが若干残っている場合があります。匂いがある場合は、棚の引出しなど狭い空間に閉じ込めずに(匂いが篭る場合があります)、風通しの良い場所で保管ください。使用と、時間の経過とともになくなります。
片刃